スタジオジブリ作品「コクリコ坂から」。
主人公の松崎海ちゃんが切り盛りする下宿屋「コクリコ荘」について、こんな感じかな?とゆう間取りを試案してみました。
間取りを考察していると、「コクリコ荘」にはジブリ作品でよく使われる建築様式がいくつも詰め込まれているのを発見。
この記事では、コクリコ荘の間取り(試案)を紹介しつつ、コクリコ荘にも取り入れられている、ジブリ建築でよく使われている建築様式をチェックしたいと思います。
コクリコ荘について【ジブリ建築考察】
ヒロインの松崎海ちゃんが暮らすのは、港が見える町。高度成長期1963年の横浜とゆう設定です。
実際のロケーションで言うと、コクリコ荘があるのは横浜市の神奈川近代文学館のあたりのイメージだそう(※1。
もともとの建物は、海ちゃんの祖父が病院として建てたものでした。そこを自宅兼下宿屋として、海ちゃんが切り盛りしています。
古いけれど、手入れが行き届いて、庭にはたくさんのコクリコ(ひなげし)の花が咲いている和洋折衷のすてきな洋館風建築です。
コクリコ荘のモデルは?
書籍「脚本 コクリコ坂」より、宮崎にあった古い洋館の写真がモデルとなっていることから、とのこと。コクリコ荘のモデルは宮崎県にある旧飯田医院ではないかと言われています(※2。
コクリコ荘はもともとは病院として建てられた洋風建築です。
明治時代には洋風建築の病院がよく建てられました。明治期はまだ漢方医学が中心だったので、洋館にすることで「西洋医学」に基づく診察所であるとゆうこと主張していたんですね。
コクリコ荘の間取り|試案
所在地:1963年の横浜
構造:木造2階建
築年月:明治時代
ジブリ映画によく登場する建築様式を4つ紹介
ジブリ建築といえば「サツキとメイの家」で知られる和洋折衷なテイストやステンドグラスなど様々ありますが、ここでは「コクリコ坂から」のカルチェラタン・コクリコ荘にも取り入れられている建築様式を紹介します。
下見板張り
スティック様式とも言います。
外壁に木の板を水平に張るもので、板の下端がその下の板の上端に少し重なるように張る造作です。
「コクリコ坂から」では海ちゃんの住むコクリコ荘や、カルチェラタンにスティック様式が使われています。
ジブリ作品では「思い出のマーニー」の大岩家や、「となりのトトロ」のサツキとメイの家などでこの下見板張りの様式が使われています。
真壁造り/ハーフティンバー
柱を用いた壁で、柱材が表面に露出している壁を真壁又はハーフティンバーと言います。
昔は実家の和室の壁と言ったら真壁!しかも砂壁とゆうのがあるあるでした。昭和あるあるですかね。。
真壁作りは柱が表面に露出しているため、雨風や経年劣化には若干弱いです。たいへんお手入れが必要。
また柱材には見栄えのいい材料・加工法を用いる必要があるので、予算や施工難易度は普通の壁(大壁造)より多くかかります。
予算がたくさんかかっても、お手入れが大変でも大事に丁寧に暮らす、とゆうところにジブリ作品のものづくりと通ずるところがありそうですね。
真壁作りは、ジブリ作品では「ハウルの動く城」の街並み、「風立ちぬ」の二郎の下宿部屋などに取り入れられています。
腰壁
「腰壁」とは、その名のとおり床から腰の高さくらいまでの位置に設置される壁のこと。 床から1m位までの壁は、生活の中で汚れやキズがつきやすいです。 そのため、汚れやキズを防止するために硬い材質の木材で仕上げられることが多いです。
「コクリコ坂から」ではコクリコ荘・カルチェラタン共に腰壁が採用されています。
ジブリ作品では「思い出のマーニー」の湿っ地屋敷、「となりのトトロ」のサツキとメイの家、「紅の豚」など多数腰壁を使った建築が描かれています。
上げ下げ窓
上げ下げ窓はイギリスが発祥です。
ジブリ作品ではイギリスをモデル地としている「天空の城ラピュタ」以降、上げ下げ窓はよく登場する建築様式となっています。
と言っても「天空の城ラピュタ」では建築として上げ下げ窓は取り入れられておらず、映画冒頭に飛行艇の窓として登場するのみです。
考察した人:はんこす(二級建築士・インテリアコーディネーター)
※1)※2)の参考資料:「脚本 コクリコ坂から」/角川書店